退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】ちきりん『自分の時間を取り戻そう ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方』(2016年、ダイヤモンド社)

この本では、ゆとりと成功を手に入れるためには「生産性を高める」ことが重要だと説く。この本で言う「生産性」とは、時間やお金など有限で貴重な資源」と「手に入れたい=成果」との比率と定義される。

具体的に、インプット=希少資源、アウトプット=手に入れたい成果、この2つの比率が高める方法を紹介している。ビジネス書を普段から読んでいる人はどこかで聞いたような話ばかりかもしれないが、入門者向けによくまとまっていて有用だろう。

通読して自分を振り返ってみると、アウトプットの「手に入れたい=成果」とは何だろうとあらためて考えさせられた。これはひとりひとりの人生観にほ関わることで、他人に教えてもらうコトではないだろうが、これを見極めるのがいちばん難しいのでないだろうか。単純にひとつに決まるものでもなく、相反する複数のゴールがあるかもしれない。

この点について本書は直接多くを語ってくれない。その代わりだろうか、巻頭と巻末で多忙で余裕のない4人の物語を取り上げて、ケーススタディを紹介している。これにしっくりくる人もいるだろうし、自分とは随分とちがうなと感じる人もいるだろう。

また本書は、ある程度自分の裁量で動ける「高度人材」向けだということも留意しておきたい。マニュアルどおりに決められてことだけをするような職種にはまったく役に立たない。そもそも、このような層は著者のターゲットではないのだろうが、読んでみてどこか遠くの世界の話に思える人もいるだろう。読者を選ぶ本である。

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