目黒シネマで映画『何者』(2016年、監督:三浦大輔)を鑑賞。原作は直木賞を受賞して話題になった朝井リョウの同名小説。佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉、岡田将生らの若手俳優の演技合戦も見ることができる。いまどきの就活を通して若者たちのリアルを描き、ストーリーのなかでSNSが重要な役割を果たす。
2013年秋に原作小説を読んでいてオチを知っていたことを割り引いても、映画としては完成度はイマイチ。映画『桐島、部活やめるってよ』(2012年)のレベルを期待すると肩透かしを食う。原作を読んだときも映像化には向かないだろうと思ったが、映画をみてやっぱりと思った。とくに前半は眠くなった。映画を見てピンとこなかった人も一度原作を読んだ方がいい。
ちょっといいなと思ったのは、ラスト近くで出演者が演劇の舞台のなかに取り込まれるシーン。演劇出身の監督の持ち味なのだろうがあの演出は面白かった。
就活の描写がどのくらいリアルか分からないが、いまどきの就活を経験をした人たちには刺さるのかもしれない。見る人を選ぶ作品と言えるだろう。
しかし年代を問わず、卒業・就職は青春の終わりと位置づければ、この映画はその"青春の終わり"のほろ苦さを描くことには成功している。自分に重ねて自己嫌悪に陥る人も多いかもしれない。
余談だが今回は併映の大根仁監督の『SCOOP!』(2016年)を目当てに映画館にきて、2本目に本作をみた。また二階堂ふみが出ていてので「またおまいか」と思ったが、若手のなかでは抜群に上手いなあとあらためて感心した。持ってるなぁ。