退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『散り椿』(2018) / 岡田准一の殺陣がすごいけど…

DVDで映画『散り椿』(2018年、監督・撮影:木村大作)を鑑賞。葉室麟の同名小説の映画化。

8年前、藩上層部の不正を告発した瓜生新兵衛(岡田准一)は、逆に藩から放逐されていた。新兵衛は、旅先で妻・篠(麻生久美子)を病で亡くした折、彼女から託された最期の願いを果たすべく藩に戻ってくる。それは平山道場の四天王と呼ばれ共に剣の腕を磨いた榊原采女西島秀俊)を助けてほしいというものだった……。

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撮影の巨匠・木村大作が監督を務めていることもあり、ロケにこだわったという映像美は圧倒的。ビシッと構図が決まっていて気持ちがよい。

圧巻なのは岡田准一の身体能力を活かした殺陣。剣の達人がそういうものなのかわからないが、役者があれほど速く動けるものなのか驚嘆する。殺陣の場面を見るだけでも価値があるだろう。

ただしストーリーはややわかりにくい。登場人物の関わりがセリフだけで説明されるのには閉口した。一度観ただけで頭のなかに人物相関図をつくるのは無理かもしれない。まあ細かいことを知らなくても楽しめるが、見ているうちにどうしてもディテールが気になってしまう。

ラストに岡田准一西島秀俊がふたりで、黒幕の家老(奥田瑛二)に殴り込みに行くあたりは東映の任侠ものかと思ってしまった。ふたりのナルシズムが全開で、いまどきこの演出ははないだろう。

それでも、いまどき本格時代劇映画は貴重。これ以上のものはなかなか望めないのかもしれない。やや点数が甘いかもしれないが時代劇ファンに広くおすすめしたい。

散り椿【レンタル落ち】