退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

BS-TBS開局20周年記念ドラマ『上意討ち』を見た

BS-TBSでは開局20周年記念企画の時代劇ドラマ『上意討ち』を鑑賞。原作は池波正太郎の同名時代小説。永山絢斗尾上松也のW主演。

最初、映画『上意討ち 拝領妻始末』(1967年、監督:小林正樹)のリメイクかと思ったが、まったく別の物語だった。それでも武家社会の不条理を描いてることは変わりがない。

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幕藩体制下、越前鰺岡藩。藩主の堀兵庫頭忠行(宇梶剛士)は武芸を奨励し、剣術の試合を楽しみにしていた。冒頭、お先手組・森十兵衛(永山絢斗)と、馬廻組・田中源四郎(尾上松也)が御前試合の決勝戦で立ち会う場面で始まる。勝負は源四郎が制するが、負けた十兵衛も相手を認めて心を通じ合う。

源四郎には許嫁の千里(北原里英)がいたが、藩主・忠行が千里を見初めて側室にしろと下知を下す。藩命に逆らえない千里の父は源四郎に婚約解消を懇願するが、源四郎と別れたくない千里は自害する。これに激怒した源四郎は、主君の忠行を狩場でフルボッコにして、そのまま出奔する。十兵衛はこの行為に同情を寄せていたが、反逆のうえ脱藩した源四郎を追うべく「上意討ち」の藩命が他ならぬ十兵衛に下るが……。


永山絢斗・尾上松也W主演!池波正太郎 原作「上意討ち」12/5(土)よる7時放送【BS-TBS開局20周年記念ドラマ】

松竹制作の時代劇ドラマであり、手堅いつくりで安心して見ていられる。主演二人の殺陣は迫力十分で楽しめた。しかしドラマ自体はどこか優等生的というかイマイチ面白みに欠ける。

いくつか疵はあると思うが、まずは藩主・忠行の人物描写が十分にできていないこと。武芸を奨励する藩主として登場するが、いきなり無類の女好きで子沢山だと語られる。血筋がすべての武家社会では必ずしも悪いことではないだろう。まあ家臣の許嫁を側女にするというのはどうかと思うが、これを諌める家臣が出てこないのも不満だった。

とにかく藩主がどんな人物なのか説明不足なのだ。武家社会の不条理はだいだい主君の行動に端を発するわけだが、ここをちゃんと描いてほしかった。それがないからラストで源四郎が藩主を同じ狩場で討つ場面が弱くなった気がする。まあ宇梶剛士の演技も褒めらたものではないが、これは脚本のせいだろう。

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あともうひとつ挙げるなら、事件の発端となった千里がとても藩主に見初められる感じがしないこと。”きたえり”こと北原里英が演じていたが、まったく着物が似合ってないし、目を引く容姿というわけでもない。物語に説得力がないのだ。

見ていて彼女がヒロインかよと思ったが、あっという間に自害してログアウト。結局ヒロインは庄屋の娘を演じた桜庭ななみということか。これなら納得できるという人は多いだろう。

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総じて剣豪を演じた主演ふたりはよかったが、周辺がもうひとつというところか。それでもいまどき珍しい本格的時代劇ドラマ。チャンバラ好きの人は楽しめるだろう。