名脇役として長年活躍してきた俳優の神山繁(こうやま・しげる)さんが亡くなりました。87歳でした。
少し前の日本映画が好きな私としては、神山さんが欠かせないバイプレーヤーだったことは言うまでもありませんが、最近でも『踊る大捜査線 The Movie 2レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003年)、『アウトレイジ ビヨンド』(2012年)に出演するなど、晩年まで精力的に俳優活動を続けていました。
品のある知的でクールな人物を演じることが多く、余人をもって替えがたい存在感をスクリーンで発揮していました。
あまりに多くの作品に出演しているので選ぶのはむずかしいのですが、あえて映画の出演作品からベスト3を選んでみました。名画座の追悼企画でもプログラムつくるの大変だと思います。
激動の昭和史 沖縄決戦 (1971)
太平洋戦争末期の沖縄の戦いを描いた岡本喜八監督作品。神山さんは島田叡沖縄県知事を演じています。最後の官選知事です。
前任の泉守紀知事(浜村淳)が東京出張中に離任。米軍が迫るなか後任人事は難航するが、島田に白羽の矢が立ちこれを引き受けます。妻子を残して死を覚悟して沖縄に赴任して県民のために尽力します。
戦争映画なのでこの役はメインキャストではありませんが印象に残っています。
華麗なる一族 (1974)
山崎豊子の同名小説を山本薩夫監督が映画化。神山さんは帝国製鉄の和島専務を演じています。
万俵鉄平(仲代達矢)が率いる新興企業・阪神特殊鋼に原材料の銑鉄を売り渋る大企業の重役です。阪神特殊鋼はこれを機に銑鉄を自社生産すべく、突貫工事で高炉を建設に着手しますが、爆発事故を起こし会社は倒産。
会社更生法が適用され、管財人として阪神特殊鋼に乗り込んでくるのがまた神山繁。鉄平が父を背任で告発した訴えをあっさり取り下げ、鉄平は絶望し自殺に追い込まれます。
神山さんの持ち味が存分に発揮された役で、映画も面白いのでオススメです。後年、キムタクが鉄平を演じてテレビドラマとしてリメイクされています。