少し古い記事ですが「京都市京セラ美術館」に反発の声が上がっているというニュースがありました。
これには以下のような背景があるそうです。
京都市美術館(同市左京区)の愛称について、命名権(ネーミングライツ)の契約候補者に京セラ(同市伏見区)が選ばれた。平成31年度から「京都市京セラ美術館」となる契約内容だ。契約は50年間で50億円。京セラには、企業PR・社会貢献活動の情報発信スペースの設置や施設の優先利用権といった特典も付与されるという。
この名称はどうなのか
まず「京都市京セラ美術館」という名称がどうかということを考えてみたいと思います。
この名称だと企業が運営する美術館だと誤解される可能性はないでしょうか。東京には、出光美術館やブリジストン美術館、損保ジャパン東郷青児美術館などがありますが、こうした企業が運営している美術館との区別がつきにくいですね。
また公共の美術館に一企業の名前が含まれるというのは、愛称と言えどもどうも違和感があります。京都市民はこれでいいと思ってるのでしょうか。記事には反発が声が上がってるとありましたが、「さもありなん」というところです。
ネーミングライツ契約だから美術館に名称が入るのは当たり前でしょうが、美術館を支援するならもう少し控えめにできないものでしょうか。美術館の片隅に「Supported by KYOCERA」ぐらいの小さなモニュメントがある程度では我慢できないのでそうか。
これではかえってでしゃばりな印象を与え逆効果とすら思えます。
50億円で50年間
名称も無理があるなと思いましたが、他には「50億円で50年間」という条件にも驚きました。金額はともかく「50年間」という期間は想定外の長さです。
50年と言えば半世紀ですよ。この動きの速い社会で、いかに京セラと言えども半世紀後に存続しているどうか分かりません。
シャープがあっという間に傾くようなご時世です。あまりにも契約期間が長いように思えます。
そのうち図書館や学校も?
スポーツ施設はホールなどの箱物のネーミングライツは百歩譲ってアリかなと思いますが、美術館や博物館にはそぐわない気がします。うまく説明できませんが、ただの箱物じゃなく「美の集積の場」でもあるからでしょうか。
美術館がアリならが、そのうち図書館や学校もネーミングライツの対象になるかもしれません。売れるものなら何でも売るという姿勢は、京都に似合わないというイメージがありますが、実際はどうでしょうか。
まあ決めるのは京都市民ですから、外野からあれこれ言うのは失礼かもしれません。しかし財政難の自治体が増えるなか、どこででも起きそうな問題でもあるので、今後も注目していきたいと思います。