〈討ち入り〉の時季なのか「忠臣蔵」が何本かテレビで放送されていた。そのなかから映画『赤穂浪士』(1961年、監督:松田定次)を鑑賞した。
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東映創立10年記念作品の本作は東映俳優陣オールスター・キャストで制作された。主役の大石内蔵助は片岡千恵蔵が演じている。『赤穂浪士 天の巻 地の巻』(1956年)に続く大佛次郎原作「赤穂浪士」の東映としては二度目の映画化作品であり、どちらの作品も松田定次が監督を務めている。
時代劇を看板にしていた当時の東映の総合力がいかんなく発揮されていて、大きな破綻もなく安心して見ることができる。スケールの大きな行列や松の廊下のセットが豪華なのは日本映画の黄金期を象徴している。千恵蔵を始めとする東映オールキャストと併せて堂々とした忠臣蔵に仕上がっている。
ただ奇を衒う必要もないのだろうが、あまりに直球すぎて面白味には欠ける。結果論になるが、やはりこれでは観客に飽きられてしまうかもしれないと思わされる。大佛次郎の小説を原作にしているのだがら、堀田隼人(大友柳太朗)らがもっと活躍してもいいだろう。あまり引っかかりもなく最後まで流されてしまう。
配役では松方弘樹が大石主税を演じているのに注目したい。若武者ぶりが初々しい。この時期から既に映画俳優としてキャリアを始めていたのは驚きだが、60年代中盤には東映は任侠路線に切り替えているので東映時代劇の下り坂を見つめてきたとも言えるだろう。ちなみに本作には実父の近衛十四郎も清水一角役で出演している。
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