新文芸坐の《生誕100年・加藤泰》で映画『真田風雲録』(1963年)を鑑賞。今年は大河ドラマ『真田丸』により真田幸村に注目が集まっているが、この映画は大坂の陣の真田十勇士を題材にしたミュージカル仕立ての異色の時代劇映画。これまで見たなかでもかなりヘンテコな映画のひとつ。
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主役は真田幸村(千秋実)ではなく猿飛佐助(中村錦之助)だが、出だしから破茶目茶。宇宙から飛来した隕石の放射能の影響で赤子の佐助が超能力を身につける(!?)。成長した佐助は、ヒロインのささびのお霧(渡辺美佐子)、そしてかわうその六(ジェリー藤尾)、由利鎌之助(ミッキー・カーチス)など個性的なキャラクターと出会い、幸村の部下となり大坂の陣で暴れまわる。
勝ち目のない大坂方で参戦して徳川と対決する真田十勇士が、60年安保挫折世代のシンパシーの対象だったのは定かではないが、時代背景を斟酌してみるのも一興だろう。フライヤーには本作で助監督を務めた鈴木則文が「加藤は権力に抗する佐助たちの青春像としてとらえていた」と載っていた。
まあ分かなくもないが、ミュージカル仕立てにしたりギャグ満載にしたりした理由は分からない。一度は見てほしい異色のミュージカル時代劇。
見ていて楽しいが、佐助の異能者ゆえの孤独を強調したラストはなかなか深く。シリアスな後味を残す。