退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『10 クローバーフィールド・レーン』(2016) / シェルター内の奇妙な共同生活

新文芸坐で映画『10 クローバーフィールド・レーン』(2016年、監督:ダン・トラクテンバーグを鑑賞。製作にJ・J・エイブラムスが名を連ねる。

エクス・マキナ』を目当てに出かけたのであまり期待しないで観てみる。『クローバーフィールド/HAKAISHA』(2008年)とは直接つながりはない。しかし同じようなホームビデオ風の映像だと見ていて疲れるかなと思ったが、そうした作風ではなくオーソドックスな手法による映像だったので安堵した。でもヘンな映画です。

舞台は米ルイジアナ。パートナーと別れたミシェル(メアリー・エリザベス・ウィンステッド )は運転中に追突され、車が横転する大事故に見舞われる。気がついたミシェルは足に重傷を負い治療を受けた状態で地下室に監禁されていた。そこに老年の元海軍兵の大男ハワード(ジョン・グッドマン )が入ってきて、「外は何者かの攻撃で汚染されている」と告げる。そこはハワードのつくった核シェルターだった。そこには2人のほかに、もうひとりエメット( ジョン・ギャラガー・Jr)という気弱な青年がいて、3人の奇妙な共同生活が始まる。


10 Cloverfield Lane Official Trailer #1 (2016) - Mary Elizabeth Winstead, John Goodman Movie HD

映画のほとんどはシェルター内の室内劇でそれが延々と続く。心理サスペンス劇としてはよくできているが映画のエクスタシーは乏しい。

その後ハワードが異常人物だと判明しエメットを射殺するに至ると、映画の雰囲気が一転してホラー映画となる。さらに終盤ミシェルが屋外に脱出してからは生命体に襲われてからはSFアクションになるという急展開ぶりに驚く。ミシェルが謎の地球外生命体に襲われ、火炎瓶を生命体の体内に投げ込みに辛くも窮地を脱する。

その後、車で聞いたラジオで人類と謎の生命体との戦いが続いていることを知り、その戦いに参加するために車をスタイリングを切り現場に向かうところでエンディングを迎える。典型的なアメリカ映画というべき大味なラストである。

室内劇では、ハワードの言うように何者かに攻撃を受けたことが本当なのかということがカギなのだが、ポスターが真っ先にネタバレしているという『猿の惑星』のような映画だった。低予算のわりにはガンバっているので一度は見ても損はないだろう。

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