退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『がんばれ!ベアーズ』(1976) / 賞賛すべき70年代のアメリカ映画、ただし低予算

なぜか無性に見たくなって映画『がんばれ!ベアーズ』(1976年、監督:マイケル・リッチー)を借りてきた。原題は The Bad News Bears だが、なかなかナイスな邦題がついている。

アメリカ西海岸のとある町が舞台。少年野球の弱小チーム「ベアーズ」の監督に雇われた、マイナーリーグの経験のあるバターメーカー(ウォルター・マッソー)が、問題児ばかりのチームを率いてリーグ戦を勝ち抜いていくコメディ映画。

チームがあまりにひどいので、かつての恋人の娘アマンダ(テイタム・オニール)を投手としてスカウト。さらにバイクを乗り回す不良少年ケリー(ジャッキー・アール・ヘイリー)もチームに加えて強化を図る。女の子がピッチャーというところがミソ。

この映画以後、クズたちを集めてチームをつくり競技で勝ち上がっていくことを、「がんばれ!ベアーズ」のようにと表現されるほど画期的な映画となった。低予算の映画でもシナリオがしっかりしていれば、まっとうな映画が撮れることを示しているし、少年たちも素晴らしい。

劇中、監督が「選手なんだから平等にプレイする権利がある」と言い、重要な局面でダメ選手を起用するシーンがある。とにかく手段を選ばずに勝てばいいんだという風潮へのアンチテーゼである。この映画のテーマが提示される。

ご説ごもっともなのだが、その後アメリカは新自由主義の波にもまれ、この映画に登場しているようなミドルクラスは経済的に没落していく。そのこと分かっている現在、改めてこの映画を見ると各人思うところがあるではないだろうか。


The Bad News Bears (1976) - Trailer