リオ五輪の話題が連日ニュースを飾っている。そうしたなか私が注目していたのは女子卓球だ。男子卓球はパワフルだが、どうしても「華」がなくてつまらない。
とりわけ団体戦は独特の雰囲気で盛り上がりを見せていた。結果は周知のとおり、女子卓球は日本は銅メダルを獲得することができ、手ぶらで帰るという事態にならずに観戦していた当方も安堵した。
試合を追いかけているうちに不思議なことに気づいた。どの国と対戦しても相手が中国人なのだ。解説によれば「帰化選手」というらしいが、中国で幼少期から卓球選手として英才教育を受けたが中国では生き残れず、他国に帰化して五輪に出場している選手たちである。
準決勝でドイツと対戦したとき、3人中2人がアジア系だったであれと思ったが、やはり帰化選手だった。試合は第5試合までもつれ込んだが、結局、福原愛選手が帰化選手のカットマン(カットウーマンというべきか?)に敗れて3位決定戦にまわることになった。
銀メダル以上が決定した瞬間だったので喜ぶのも分かるが、ドイツのカットマンの喜び方が尋常ではなかったの印象に残っている。帰化してまで競技に人生を賭けたのだから、いろいろと心に去来することがあったのだろう。
シンガポールの3位決定戦では、なんと相手は3人中3人が帰化選手だった。元々シンガポールは華人の国なのでそれほど驚かないが、移民にキビシいシンガポールがよく簡単に帰化を許したものだとは思った。なにかウラがあるのだろうか。
IOCの規定によれば帰化して3年以上経てば五輪に出場する資格が得られるとのことだ。これには賛否があるだろうが、レギュレーションがそうなのだから仕方ない。もっと言えば、これだけ世界がグローバル化している時代に国単位で競うこと自体に意味がなくなっている気もする。
さて移民選手はどんな思いで帰化したのだろうか。思うに日本人が国籍を離れるほどには、中国籍を離れることに抵抗がないのかもしれない。中華人民共和国の国民である以前に華人であるという意識が強いのかもしれない。
そうはいっても帰化先の国ではいろいろ克服しなければならない障害もあっただろうことは想像に難くない。ぜひ帰化選手を追いかけたドキュメンタリーをつくってほしい。ぜひ見てみたいものである。