流行のミニマリズムの類の本だが、いわゆるマニュアル本ではないので要注意。タイトルどおり「主義」いわば「イズム」の本。佐々木典士 『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』に触発されて手に取ってみた。
ひとり語りというかナルシスト臭も感じられるが面白く読めた。2つだけなるほどと思ったことを挙げておく。
ひとつは、映画好きにはガツンとくる話。「最近、映画を見なくなった」と言い、それは他人の生き方を観るよりも、自分の人生を生きる」と思ったからではないか、と結論づけている。うーん、耳が痛いかも。
さらに追い打ちをかけるように、あとがきで「映画やテレビは、昔に比べて随分衰退してしまった」と未来予想し、その理由を「人の行動や人の人生を観てばかりの人生は、人を幸福にしないという説が一般的になってきたからだ。」としている。
もうひとつは、ヴィクトール・フランクル『夜と霧』で「すべてを奪われても、夕陽が美しいと感動できる」という箇所に感動したという話。え、そこなのかと思った次第。本書のなかでも「西に海がある街は、幸福度が高い」などと書いているので、夕陽に特段の思いがあるのかしらん。『夜と霧』を読み直してみたくなったが、ウツになりそうで怖い。
前に述べたように本書はマニュアル本ではないので、読後に期待を裏切られたと思う人もいるかもしれないが、ひとつでもふたつでも響くものが見つかればよいのではないか。そんな本です。
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