退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

ボッティチェリ展 @東京都美術館

上野の東京都美術館で開催中の「ボッティチェリ展」に行ってきました。ルネサンス期にフィレンツェで活躍したサンドロ・ボッティチェリ(1444/1445-1510)の回顧展。今年は日伊国交樹立150周年でイタリア関連の展示会が目白押しです。

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実は昨年春にも渋谷のBunkamuraで開催された「ボッティチェリルネサンス」という展示会を見てきました。「フィレンツェの富と美」という副題が付いていて、ボッティチェリの作品と金融業で栄華を誇ったフィレンツェの興亡を重ね合わせる、ストーリーが感じられる展示会でした。しかし作品数が少なくキュレーターの苦労が忍ばれたのも事実。

それに対して、こちらは作品数も多く直球勝負です。ボッティチェリに加えて、師のフィリッポ・リッピや弟子でありライバルでもあったフィリッピーノ・リッピの作品も交えて見応えがありました。

個人的に見たかったのは、ボッティチェリ《美しきシモネッタの肖像》(1480-85)という肖像画です(画像)。フィレンツェ随一の美女と讃えられたシモネッタ・ヴェスプッチ(1453-76)がモデルとされていて、ボッティチェリの代表作《ヴィーナスの誕生》のヴィーナスのモデルとも言われています。

彼女の死後に描かれた作品ですので、かなり美化されたいたのかもしれません。ちなみにこの作品は某日本企業のコレクションなので庶民の目に触れる機会は少ないので、今回は貴重な機会でしょう。この一枚を見るだけでも上野に出向く価値はあります。

さきほど、この展示会は直球勝負と書きましたが、ボッティチェリの代表作である《ヴィーナスの誕生》や《プリマヴェーラ》が来日しないのは残念。今後日本はどんどん貧乏になっていくでしょうから、海外の有力な美術品を引っ張ってくるのは難しくなるでしょう。

花見客や海外からの観光客で混雑する上野公園から帰路につくなかで、そんなことを思いました。次は同じく上野の国立西洋美術館で開催中の「カラヴァッジョ展」に行こうと思ってますが、花見の季節が終わってからがよさそうです。

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