シネマヴェーラ渋谷の《フィクションとドキュメンタリーのボーダーを超えて》という企画で、映画『ゆきゆきて、神軍』(1987年、監督:原一男)を鑑賞する。
- 出版社/メーカー: GENEON ENTERTAINMENT,INC(PLC)(D)
- 発売日: 2007/08/24
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天皇の戦争責任に迫る過激なアナーキスト・奥崎謙三を追った異色のドキュメンタリー。天皇に向けてパチンコ玉を撃った犯罪歴を持つ奥崎が、ニューギニア戦戦で起きた部下射殺事件の真相を追うために、当時の関係者を訪ねる。関係者たちは簡単には口を開かないが、奥崎は時には暴力に訴えながらも証言を引き出していく。
ドキュメンタリーのお手本と言える作品で、いま見ても圧倒される。戦後70年余を経て、既に奥崎を含めて関係者の多くは鬼籍に入っているが、日本の戦争責任の問題は曖昧にされたままである。
日本人の戦争責任や戦時中の犯罪行為について日本人自身が裁くことができなかったことは、日本の歴史に大きな汚点を残した。ドキュメンタリーのマスターピースである本作を見てそんなことを漫然と考えた。