退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『ドカベン』(1977) / 数少ないコミック実写化の成功例

神保町シアターの《夏休み特別企画 漫画から生まれた映画たち》という企画で、映画『ドカベン』(1977年、監督:鈴木則文)を鑑賞。水島新司原作の野球マンガの金字塔を正面から実写化。実に楽しい。

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昨年の鈴木則文監督の追悼企画で見逃していた作品だったが、ようやく見ることができた。娯楽作品を撮らせたら則文はやっぱりスゴい。35年以上前の映画だが現代の劇場で笑いを取れるのは並外れた監督の才気だろう。

映画はほぼ原作に忠実に実写化しているが、原作の中学時代のストーリーを高校に持ち込んでいるので里中は登場しないのは残念だが仕方がない。

キャストでは、岩鬼をリアルに再現した高品正広(現:高品剛)に尽きる。あのデカさは余人をもって代え難い。他には殿馬役の川谷拓三がおかしい。当時30歳を越えていたはずだが、高校生役なのはそれでいいのかとも思うがオイシイ役だ。他には夏子役をマッハ文朱がブスメイクで演じているのにも注目したい。

ストーリーは明訓高校の転校生ドカベンこと山田太郎は、野球部からの誘いを断り柔道部へ入部して大活躍するところから始まる。終盤、ようやくドカベンが野球部に入りいよいよ野球編の本番かというところで終了。続編も考えられていたのだろうが、残念ながら実現しなかったことは惜しまれる。

最近、『進撃の巨人』の実写化作品の制作サイドの人が「予算がないからロクな映画が撮れない」みたいな発言していたそうだが、一度、鈴木則文監督の作品を研究してみてはどうかと思ったものだ。

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