退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『不毛地帯』(1976) / なぜか田宮二郎特集で見ました

神保町シアターの《生誕80年記念企画 よみがえる田宮二郎 -昭和を駆け抜けた狂熱の俳優人生》という企画で映画『不毛地帯』(1976年、監督:山本薩夫)を見てきました。

山崎豊子の同名小説のうち次期戦闘機選定までの前半部を映画化。上映時間3時間という長尺で途中に休憩がありました。ただ画角がせまいのは残念。ロシアの平原を走る列車をシネスコサイズで見たかった。

主演は壱岐正を演じた仲代達矢で、まあ彼のための映画と言ってもいいでしょう。今回、田宮二郎特集で本作が上映されるのはちょっと不思議な気がしましたが、映画館で没入して見るのには相応しい大作です。

本作は、次期戦闘機選定をめぐる商社間の争いを描いており、田宮二郎は、壱岐正が務める近畿商事のライバル会社である東京商事の鮫島部長を演じています。田宮の出番は少ないですが、本当の商社マンに見えるのはさすがです。英語で芝居するシーンはなかなかの貫禄です。いまはこういう役者はいないですね。

また下のスチルは、田宮が演じる鮫島が防衛庁官房長官貝塚小沢栄太郎)を料亭で接待している場面です。小沢が演じる貝塚の性悪ぶりもこの映画の見どころです。こういう役を演じると右に出るものがない役者でした。
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以下余談になりますが、「不毛地帯」は2009年にフジテレビ系列で開局50周年記念ドラマとして連続ドラマ化(主演:唐沢寿明)されました。このときに、鮫島を演じたのは遠藤憲一です。まあ悪くはないですが、田宮に比べると軽かった記憶があります。

このフジテレビのドラマでは、次期戦闘機以降の自動車産業や石油開発などの後半部も描かれましたが、視聴率低迷のため終盤はひどく駆け足で残念でした。開局50周年記念なのだから、ちゃんとやれよと思ったものです。

DVDでは放送時にカットになったシーンも盛り込まれているそうですが、買ってまで見るのはハードルが高そうです。Huluで配信されないものだろうか。

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