少女マンガの金字塔「ベルサイユのばら」の連載が終了したのは1973年。それから40年を経て昨年新作エピソード編が発表されました。アンドレ、ジェローデル、フェルゼン、アラン…オスカルを巡る人々のその後や、知られざる過去を描いた短篇集です。
遅くなりましたが、ふと手にする機会があったので読んでみました。ちなみに本編は4年ぐらい前に読みなおした記憶があります。この機に本編を読み直すと本書をより楽しめるでしょう。
最初にこの本を手に取ったとき短篇集を第11巻とするのはどうかとも思いましたが、商売上の都合なのでしょう。40年ぶりのご祝儀なのか、本のサイズは従来どおりですが各エピソードの冒頭にカラーページを配した豪華仕様。まあ、お値段もそれなりですが……。
巻末の池田理代子先生のインタビューによれば、「マーガレット」の50周年にコメントを求められたとき、「コメントではなくマンガを描きたい」と編集部にお願いしたとのこと。連載当時、先生は20歳代。その後、年を経て描きたくなったこともたくさんあったのでしょう。
とくに「フェルゼン編」は年を経なければ描けないエピソードに思われました。フランス革命後かなりの年月を経て、フェルゼンがはオーストリア大使としてウィーンに赴任します。そこでかつて恋人だったマリー・アントワネットの遺児マリー・テレーズを見かけます。アントワネットにそっくりに成長したテレーズの姿に自らの青春を振り返るという話です。
また「アラン編」では、革命で負傷したアランが後日談が描かれます。エピソードには、恐怖政治で知られるロベスピエールやサン=ジュストの姿もあります。バスティーユ襲撃はフランス革命の序章にすぎません、できれば今後のエピソードではテルミドールあたりまで描いてほしいところ。欲を言えばナポレオン・ボナパルトの台頭までをアランたちの目を通して見てみたい。気長に続編を待ちたいと思います。