ようやく映画『GODZILLA ゴジラ』(2014年、監督:ギャレス・エドワーズ)を見てきた。日本では7月下旬の公開だったが、夏休みにシネコン行くのを避けていたら、すっかり遅くなってしまった。本作は、レジェンダリー版『ゴジラ』と呼ぶことになるのだろうか。
東宝ゴジラがハリウッドで製作され、スクリーンで見られるというだけで期待は高まる。さらに本作は日本での公開が遅かったせいもあり、既に公開された国からのレビューを含め、各種メディアから発信される情報が極めて多かった。これほど事前に情報をインプットしてから見に行く映画は珍しい。
さらに、この夏は本作の影響だろうか、テレビでゴジラ特集や平成ガメラ3部作が放映されたので、そちらでもガッチリ予習したし、このような雑誌にも目を通した。情報過多だ。
- 作者:
- 出版社/メーカー: キネマ旬報社
- 発売日: 2014/07/05
- メディア: 雑誌
Pen (ペン) 2014年 7/15号 [ゴジラ、完全復活!]
- 作者:HASH(0x556c4aaad600)
- 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
- 発売日: 2014/07/01
- メディア: 雑誌
- 作者:
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2014/05/21
- メディア: 雑誌
上映時間が長すぎる
上映時間は123分だったが冗長な映画だなというのが第一印象。怪獣映画は上映時間100分以内でお願いしたい。もちろんシナリオが良ければ気にならないかもしれないが、今回のシナリオは全然ダメ。とにかく人間パートがきちんと描けてないので映画としてだるく、長く感じた。
「平成ガメラ」のパクリじゃないの
予告編ではムートーの存在がわからないが、本作はムートーという怪獣が登場してゴジラと戦うというVS設定である。それにしてもこの映画は、平成ガメラのパクリと言われても仕方のないほどよく似ている。見比べてみると面白いだろう。
とくに平成ガメラ第1作『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995年、監督:金子修介)との類似点は多い。まあ誰が考えても同じような話になると言えばそうかもしれない。しかし監督がオタクだと伝えられているので、きっと平成ガメラも見てるにちがいない。インスパイアされたのなら、せめて「ガメラ」をクレジットしてほしかった。
日本の描写がひどすぎる
映画の冒頭、日本の雀路羅(じゃんじら)市にある原子力発電所が舞台になる。しかし、架空の地名なのだろうが「じゃんじゃら」は、とても日本の地名とは思えない。これどこの国だよ、と思った。映画でも、"Janjira, Japan"と字幕が出ていたが、日本語字幕は単に「日本」となっていた……。いっそのこと、もう「フクシマ」でいいじゃん。
さらに、日本の住宅の室内の美術もめちゃめちゃだし、原子力発電所で働く日本人が話す日本語も昔の香港映画のように不自然だ。
東宝ゴジラをリスペクトするなら、日本人のアドバイザーを置いて日本パートをチェックしてもらいたかった。日本の描写だけはちゃんとやろうよ。
ヒロイン不在はさみしい
やはりヒロイン不在なのは物足りない。ワールドワイドでのセールスを考えると美少女ヒロインは無理かもしれないが、この映画の人間パートは決定的に弱い。
まず全体を通して軸となる人物がいない。ジョー(ブライアン・クランストン)がコアになるかと思ったら途中で死亡。その後、息子のフォード・ブロディ大尉(アーロン・テイラー=ジョンソン)にバトンタッチするが、家族に会いたいと言っていたのに、パラシュート降下の任務を軽いノリで志願。何をやりたいか分からない。
しかも芹沢博士(渡辺謙)は、"We call him Gojira."と言いたいだけの謎の人物設定。いったい誰なのかさっぱり分からない、役に立たないキャラクターだ。どうせなら物語の語り部をやればいいのに。
米軍vs.怪獣のガチンコ勝負が見たかった
日本の怪獣映画では自衛隊が怪獣を攻撃するシーンは欠かせない。東宝ゴジラの見どころのひとつである。
しかし今回、ムートーは、強力な電磁波パルスを放射して周辺の電子機器が無力化する能力を持っているため、近代兵器で武装する米軍の軍事力が封じられてしまう。うまい設定かもしれないが、米軍と怪獣のガチンコ勝負を見てみたかった。
続編も見るだろう
いろいろ文句を書いたが、興行的には大成功して既に続編の製作も決まっている。続編では、ラドン、モスラ、キングギドラが登場するとのこと。たぶん見に行くだろう。怪獣映画には甘いのだ。
Godzilla - Official Main Trailer [HD] - YouTube
【関連記事】