東京国立博物館で開催中の特別展「台北 國立故宮博物院 - 神品至宝 -」に行ってきました。話題の『翠玉白菜』が期間限定で展示されています。
故宮コレクション
まず平成館特別展示室に向かいます。北宋から南宋・元・明・清にいたる皇室のコレクションを経た文物が展示されてます。世界史のほとんどの時代で中国が先進国だったことがよくわかります。正直、「書」はよくわかりませんが、青磁器などは素人が見ても凄さがわかります。圧倒されます。
この展示会を見ると、中国激動の歴史に思いを寄せないわけにはいけません。故宮博物院は、1925年、北京の紫禁城に誕生します。そして日中関係が緊迫すると、南京に移されさらに内陸に疎開されます。終戦後、1947年に南京に戻されますが、今度は国共内戦のため、1949年までに文物の「一部」が台湾に移送されます。
この「一部」がどの程度なのかわかりません。今回の展示には「玉璽」まであったので、主なコレクションは台湾に移され、紫禁城には碌なものが残ってないということなのでしょう。中国歴代皇帝のコレクションがいまだに台湾にあるという事実には改めて驚かされます。
翠玉白菜(すいぎょくはくさい)
故宮コレクションのスーパースターです。初の海外出品。別の建屋の本館特別5室に展示されていました。私のときは70分待ちでしたが、公式Twitterを眺めていると270分待ちのときもあった模様。すごい人気です。
本館内で待っている間は携帯の電波が届かず、手持ち無沙汰でしばらく過ごしたあと、ついに対面できました。第一印象は「ちっさい」。スーパーで売っているような白菜の大きさを想像していましたが、実際は19cmぐらいの小品でした。絶妙な角度に立ててあるのがすばらしい。
瑞瑞しい白菜は、人工的に着色されたものではなく、天然の石を色を活かしたものだそうです。葉の上のバッタとキリギリスは多産の象徴と考えられいて、皇妃の持参品だったそうです。趣があります。
展示会名称トラブル
ずいぶん前からこの展示会に行く予定を組んでいましたが、開催が危ぶまれる事態がありました。PRに使用されているポスターなどに正式名称である「国立」が書かれていないとして、台湾政府が東京国立博物館に抗議、訂正されなければ企画展中止も辞さないとの声明を発表したと報じられたのです。
開催前にはホームページも閉鎖されて「本当に開催されるの?」と心配しましたが、無事開催されて何よりです。しかし、「何でこうなるかな〜」という気がしました。実際、図書館に掲示されていたポスターには「国立」の文字がありません。困ったものです。ちなみに私の買った前売券には「国立」と書かれてありました。
翠玉白菜なき後の展示会
この展示会は9月まで開催されますが、翠玉白菜の展示期間が終わったあとの集客はどうなのでしょう。美術ファンは白菜のあるうちに足を運ぶのはまちがいないし、夏休みにかけて閑古鳥が鳴くのではと心配です。ゆったり見られるならもう一度出かける価値があると思いますが、チケット半券で割引きしてくれませんかね。