先週、新文芸坐で『旅芸人の記録』(1975, 原題(翻字):O Thiassos)を鑑賞した。テオ・アンゲロプロス監督のギリシャ映画。オリジナルには休憩ないからとい理由で4時間近い上映時間だが休憩なし。非英語映画の字幕はさすがにつらい。途中、英国兵が登場してセリフが英語になる場面でホッとした。エンターテイメントとはかけ離れているが古典として観ておくべき映画だろうか。
この映画は、1939年から1952年の政治史を中心としたギリシャ史が旅芸人の視点から語られる。「現代ギリシャ史と風景を横断する旅」をテーマとし、ギリシア神話に依拠した、叙情詩的、叙事詩的な作品らしい。
戦時中のナチによる占領、戦後の内戦といったギリシャの近代史を軽く勉強してから出かけたが、なるほどわからん。まあギリシャ悲劇を下地にしているというから、一度エラい先生に解説してもらいながら観たいものだ。ただ、ワンシーン・ワンカットで撮影された圧倒的な映像美は圧倒的で、映画館のスクリーンで観る価値は十分にある。
長い間、単品のDVDが発売されていないと思っていたが、今夏、東映から発売されるようだ。きちんと解説書やオーディオコメンタリーがついているとうれしいのだが……。映画史での価値からしても岩波あたりから出してほしかったなあ。
- 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
- 発売日: 2014/07/11
- メディア: DVD