退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】『吉祥寺バウスシアター 映画から船出した映画館』(boid、2014年)

1984年3月に吉祥寺に開館し、2014年5月末に惜しまれながら閉館した映画館・吉祥寺バウスシアターの全記録。映画だけでなく、演劇や落語、音楽関連のイベントも行う文化の発信地でもあった。

吉祥寺バウスシアター 映画から船出した映画館

吉祥寺バウスシアター 映画から船出した映画館

その30年の歩みを、思い出の写真、ポスター、チラシなどの資料、そして渡辺えり田口トモロヲなどゆかりの人々の寄稿エッセイによってたどる。1984年から2014年までの全上映・公演・ライヴ記録を年表にて収録されているのは貴重。これほど完璧な興行の資料が出版された映画館は珍しい。銀座並木座ぐらいであろうか。

この映画館といえば、ソビエトSF映画『火を噴く惑星』を見にいったとき、観客がわずか2人だったことを思い出す。本書で調べてみると2003年秋の企画だったようだ。当時は中央線沿線に住んでいたので、かなり通ったものだ。それにしても上映リストが資料が残っているが紙なので検索するのは大変だ。

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その後、生活圏が中央線沿線から離れたことや、吉祥寺の街が以前より面白くなくなったこともあり、足が遠のいていた。最近では閉館が発表されたあと、寺山修司の『書を捨てよ町へ出よう』を見たが、それが最後になった。私的には最後にふさわしい演目だったと思っている。

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