K's cinemaのレイトショーで、三浦大輔(ポツドール)の原作を大根仁監督が映画化した『恋の渦』を鑑賞しました。いわゆるワークショップ映画だがかなりの混雑でびっくり。
冒頭、若い男女9人がむさ苦しいアパートの一室で騒いでいる。これからこいつらの人物像を把握しないといけないのかと思うと、さっそく気が重くなる。ところが見ていくなかで自然と引きこまれる。人物紹介が巧みでいったんキャラクターを掴んだ後のストリート展開は実にわかりやすい。練られた脚本のおかげだろうか。ラストのオチもなかなかよい。あっという間の2時間20分だった。
ひとつ気になるのは女優たちが脱いでいないこと。この映画は男女の痴話げんかとセックスで成立しているのに、裸にならないとは何事ですか。日本映画の将来のために是非ひと肌脱いでほしかった。
低予算映画を喧伝しても実は観客には何の関係もない。評価基準はオモシロイかツマラナイかのどちらかだ。とは言うものの無名の役者軍団を使い、低予算でこれだけ撮れるのかという感慨はある。その一方、こうしたワークショップ映画が日本映画の底辺を支えていることに限界も感じた。かつて大きな映画会社がインテリの映画監督やキラ星のような銀幕スターを抱えていた当時とは生成物がまったく異なるのもやむを得ないところか。
その昔、多くの邦画が上映された名画座・新宿昭和館があった場所にできたオサレな映画館でそんなことを思った。
(余談)上映終了後、出演者が二人登壇して予定外のトークショーが始まった。映画の役のような衣装だったので、たまたま立ち寄ったのかどうか……。でもこういうサプライズも低予算映画の楽しみである。