新文芸坐の企画上映「永遠の映画スター 三船敏郎」で、松林宗恵監督の東宝戦争映画2本立てを観る。
- 『太平洋の翼』(1963)
- 『ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐』(1960)
この映画には今日の映画では決して見ることができないことが2つある。
ひとつは、いわゆる「特撮」である。この2本は特撮の神様といわれる円谷英二が特技監督を務めている。2012年、東京都現代美術館で「特撮博物館」というイベントが開催されたことは記憶に新しいが、CG技術が普及した今日ではもはや特撮技術で商用映画が作られることはないだろう。懐古趣味と言われるかもしれないが、特撮映画を大きなスクリーンで観ることが望外の喜びである。
もうひとつは、軍隊経験者がつくっている映画であることである。映画が製作されたのは敗戦からおよそ15年後であり、松林宗恵監督に従軍経験があるばかりではなく、役者からスタッフに至るまで軍隊を経験した人が多かったはず。所作や美術などにその経験が十分に生かされていて、いまの戦争映画とは雰囲気がまったくちがう。また松林監督の作品には独特の戦争観が感じられて独特の趣がある。
もう随分前になるが、松林宗恵監督のトークを何度か映画館で拝聴して感銘を受けたことある。今はなき浅草東宝や中野武蔵野ホールだっただろうか。監督の作品を観ると、どうしても既に閉館してしまった名画座のことを思い出す。
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