細川・小泉陣営の参戦で都知事選が盛り上がってきた。細川候補は「原発即時ゼロ」を打ち出して、原発問題をシングルイシューとして選挙戦を戦うつもりらしい。都民をバカにした話だ。この構図から、1995年に「都市博中止」を公約にして都知事に当選した青島幸男を思い出す。
青島は都市博を中止できたが細川は原発ゼロにできるのか?
青島は当選後、公約通り都市博の中止を決断した。後処理は大変だったし、いまも臨海地域の開発は停滞していて都市博中止の功罪は議論のあるところだが、とにかく青島は公約を果たした。
一方、仮に細川候補が都知事になったとして、「原発即時ゼロ」を実現できるのだろうか。東京都は、原発立地自治体でもないし、東電の株主といっても実質国有化されて株式保有率はわずか1.2パーセントほどだ。東京都の東電への影響力はきわめて限定的だ。どのような道筋で公約を実現するのかを示すべきだろう。
都レベルの施策としては、エネルギーの地産地消を進めるために、電力の固定価格制度で国の負担分に加えて都独自の補助金を上乗せすることぐらいか。電気料金や都税の負担が増すかもしれない。
細川都政はどうなるのか?
青島都知事は都市博中止を決めた後、目立った施策を行えず、1期を勤め任期満了して退任した。任期中は都政の停滞を招いたといってよい。組織人の経験がなかったのもその一因だろうか。
今回、細川候補が都知事になって都政を仕切ることができるのか。原発問題以外の具体的な政策は全然伝わってこないし、自民党が多数を占める都議会とうまくやっていけるのだろう。不安は尽きない。
最悪なのは「原発ゼロ」というシングルイシューをも実現できず、さらに都政も停滞するという事態である。もっとも都職員は優秀だから、だれが知事になってもただちに日常生活に影響がでないことがせめてもの救いだが、長期的には都民がさまざまなコストを払うことになるだろう。