作家で元東京都知事の石原慎太郎さんが1日亡くなった。89歳。
クセの強い、毀誉褒貶が相半ばする政治家だっが、いまの政治家にない大物感があったのはまちがいがない。テレビでも長い時間を割いて、この訃報を伝えていた。
都民のひとりとしては、石原さんがおよそ14年間にわたり都政を担っていたこともあり、石原都知事の印象がいちばん強い。わたしが若い頃からずっと都知事だったので、いつまでやるんだろうと思って見ていた記憶がある。
長い間都政を担っていたころもあり、都知事としてさまざまな施策を実施してきたが、いちばん驚いたのは、東京都立大学を改め首都大学東京と命名したこと。これを見て「都知事になると、何でも通るんだな。すげえ」と思った。結局、2020年に大学名は元の東京都立大学に戻されて、石原氏の命名した大学名は定着することはなかった。
正確には当時、これまで都が運営してきた4大学を統合したのだが、この事実はあまり知られていない。単に大学名を改称したのではない。この改革により学部構成も大きく変更されて「え、この学部名は何だ!?」と驚いく事態ともなった。その際、とくに人文系の学部が大きく損なわれたことは惜しい。
また命名ということでは、都営大江戸線の路線名を決める際に、いったん公募で決まった「東京環状線」(愛称は「ゆめもぐら」)を石原都知事が却下し、「大江戸線」と命名したことも思い出せれる。実際、環状線ではなく「6」の字を描いているのだから環状線はおかしいというのは同意できる。それでも「大江戸線」というのは……。もっと他になかったのかと思わなくないが、この「都営大江戸線」は定着している。
都知事を長く務めていたころもあり、羽田空港の国際化、東京マラソンの開催、認証保育所の待機児童対策、東京五輪の誘致計画や築地市場の移転計画などなど、現在の都政に接続する多くの政策を実現している。
私などは、いまでも東京五輪は要らなかったと思っているし、そのひとつひとつに思うことはある。それでも石原都政の実行力というか馬力は評価していいだろう。何も仕事をしない政治家よりは何倍もマシである。これからも大江戸線に乗るたびに石原都知事を思い出すことだろう。
ご冥福をお祈りします。