退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『合衆国最後の日』(1978) / 核ミサイル基地が占拠されちゃったよ(あっさり)

新文芸坐で、映画『合衆国最後の日』(1977年、監督:ロバート・アルドリッチ)を鑑賞。併映は『ワイルド・ギース』。

1981年、モンタナ州のミサイル基地が脱獄囚3人組に占拠される。首謀者はミサイル基地の基本設計に携わった元空軍将校(バート・ランカスター)だった。核弾頭を搭載したミサイル9基を手にした彼は米国政府に、逃走資金、エアフォース・ワンの使用、大統領を人質にすること、そしてベトナム戦争の真実が記された国家機密文書の公開を要求する。政府は脱獄囚の殲滅を図るも失敗、ついに大統領が人質として基地に赴く。しかし政府の威信にかけて文書の公開は飲めない話だった。犯人たちは大統領を盾に基地から出てエアフォース・ワンに乗り込もうとするが、閣僚の命令を受けた狙撃兵に大統領ともども射殺される。

ベトナム戦争の後遺症がまだ残っていた当時の政治状況を色濃く反映したポリティカル・サスペンスといて知られた作品である。

この映画は画面分割の技巧を駆使した画面作りが目立つ。緊迫感を盛り上げるのに奏功しるがやややりすぎかも。いまではよく見かけるテクニックだが当時としては斬新だったのだろうか。

また大統領(チャールズ・ダーニング)がいい味出している。「いいヤツ」なのだ。そんな人のいい人物は政治家、とくに大統領にまで上り詰めることはできないのでは、とも思わないではない。しかし人質になるためにモンタナに向かうことを決意するときの内面を吐露する場面の芝居はいい。

でもよく考えると、いくらミサイル基地に精通しているとはいえあっさり占拠されるなんて、ミサイル基地の警備がザルすぎる。「えー、ないない」という感じ。

本作の機密文書を公開しろという要求は、日本で最近成立した特定秘密保護法を連想させる。どの国、どの時代でも政府の本音と建前というテーマは永遠のものなのだろう。

ちなみに、原題(Twilight's Last Gleaming)は、米国国歌(The Star-Spangled Banner)の冒頭部からの引用か。アメリカ万歳!

O say can you see by the dawn's early light,
What so proudly we hailed at the twilight's last gleaming,

合衆国最後の日 Blu-ray

合衆国最後の日 Blu-ray