近所のシネコンで映画「永遠の0」(2013年、監督:山崎貴)を観てきました。百田尚樹による同名小説の映画化。観客の年齢層がいつもより高いように感じましたが、興行的に成功するにはシニアにアピールすることも必要な時代になったようです。映画は予想以上によかったです。オススメできます。
- 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
- 発売日: 2014/07/23
- メディア: Blu-ray
ちなみに原作は2011年の秋に読んでいました。当時の読書ノートを見ると「実写化してほしいが戦争シーンは金がかかりそう」とありましたが、この映画の特撮シーンは十分に見ごたえがあります。監督が特撮を得意にしているせいもあるでしょうが、全体の戦況を描くのではなく、あくまでも主人公の視点から局所的な戦闘を描写して予算を節約できたのが奏功したのかもしれません。
この映画の見どころはゼロ戦による戦闘シーンもさることながら、ベテラン男優の競演でしょう。特攻隊員だった実の祖父・宮部久蔵( 岡田准一)の孫が、宮部の戦友たちを訪ね歩きながら祖父のことを調べていきます。そのなかで平幹二朗、橋爪功、山本學、田中泯というそうそうたる顔ぶれがかつての戦友として登場します。さらに戸籍上の祖父を演じた夏八木勲を加えた男優陣の演技がすばらしい。
ひとつ残念だったのは、戦後登場する宮部の妻を演じた井上真央。生活に困窮してるはずなのにまるでやつれてない……。汚れ役に徹してほしかった。バラックの美術はすばらしいのに。
ラストシーンで宮部は米空母に特攻を敢行します。当然、苛烈な対空砲火を加えられますが、卓越した操縦技術を駆使しているため、なぜか弾はあたりません。「そんなバカな…」と思いますが、思わず「行けー!」と応援したくなります。もちろん戦争を賛美するわけではありませんが、無意識の感情というものでしょうか。
劇中、「特攻なんて自爆テロを変わらない」「洗脳されていただけだ」といった意味のセリフが出ています。いまの若い世代もそのように考えている人が多いように思えます。さらに外国人が特攻をどのように考えているのか、またこの映画を観て何を感じるのか聞いてみたいものです。