退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『徳川一族の崩壊』 (1980)

先日、新文芸坐で「徳川一族の崩壊」(1980年、山下耕作)を観た。上映機会の少ない作品らしい。今回も「不良箇所あり」という注意書きがあった。

幕末、江戸幕府が崩壊していく様子を描く時代劇映画。主役は松平容保を演じる萬屋錦之介。さすがの貫禄で何から何までとことんカッコいい。この松平容保桂小五郎松方弘樹)との戦いが軸だ。

史実に忠実なのだろうかと思いながら観ていたが、途中で孝明天皇が暗殺されてしまい、東映十八番のトンデモ時代劇だと気づく。どうせやるなら思い切って史実に反して娯楽性を追求すればいいのだが、今回は中途半端なのでこれが史実と勘違いする人もいるかもしれない。それが狙いだろうが、右翼団体は黙っておらず公開後にトラブルに発展したらしい。

正直いうと映画としてはグダグダであまり面白くなかったのだが、中村鴈治郎岸田森をスクリーンで見れたのはよかった。

また萬屋錦之介の殺陣も少しだが見ることができる。駕籠に乗っているところを敵に襲われるが、萬屋が駕籠から降りたとたんに、瞬く間に3人ぐらいを切り捨ててしまう。まあ、こんなに強いなら護衛なんか要らないだろうとも思うが、殺陣を披露するためのシーンだったのだろう。それはそれでよし。

映画パンフレット「徳川一族の崩壊」山下耕作 萬屋錦之介 大谷直子