退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

和田 秀樹『「反貧困」の勉強法』

受験勉強が人生を忌憚なく送るための基礎力養成に役に立つというのが、筆者の主張らしい。とくに受験を体験せずに大学に入学する学生が多くなり、いわゆる無競争社会が人材育成面で取り返しの付かない禍根を残しているという。

まあ社会に出れば、この本のように単純ではないにしろ、やはり優秀な人はいわゆる高学歴者が多いし、そういう人たちが経済的に恵まれているという現実を誰しも実感できるだろう。

この本のなかに、「教育別失業率」(p.73)というおもしろい統計(出典不明)があった。このグラフによれば、不況が続き失業率が高まるなかで、大学・大学院卒業者だけは失業率が下がっている。学歴の低い層から職を失うという厳しい現実が示されていて興味深い。

こうした現実を学校で教えないことのほうが、よっぽど冷たいとしているが、一理あるようにも思う。

年末にいつも「派遣村」という施設ができるが、そこを頼る人がどんな人生を歩んできたか調査して、その結果を社会で共有すればいよい。この本がどの程度正しいかを検証できるだろう。また小中学生が施設を訪れて、収容者と対話するすることで、社会の過酷な現実を直視させるという試みがあってもよい。