退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

緋牡丹博徒・二本立て、再び:『緋牡丹博徒 二代目襲名』『緋牡丹博徒 お竜参上』

先週、新文芸坐藤純子主演・「緋牡丹博徒」シリーズから次の2本観る。昨年秋にも同じ新文芸坐で緋牡丹博徒・二本立てを観ていたことを思い出す。

  1. 緋牡丹博徒 二代目襲名 (1969年、小沢茂弘)
  2. 緋牡丹博徒 お竜参上 (1970年、加藤泰)

「鮮烈なる東映 '50s〜'70s」という企画での上映。日替わりで濃いプログラムだったので、時間があれば毎日でも通いたかった。

「二代目襲名」はシリーズ第4作。お竜さんが矢野一家を襲名するため熊本に帰郷するが、石炭輸送のため建設される筑豊本線の工事をめぐり、鉄道により職を追われる川人夫たちとの間で争いが起きていた。明治期の経済発展を時代背景にした利権争いという筋立てはわかりやすいが、各エピソードが中途半端で消化不良。

殴り込みには、流れ者の高倉健が助っ人するがまるで弱い。まあ、藤純子の主演映画だからそれでもいいが…。鉄道工事現場で、お竜さんに夜這いをかける人夫たちが、コテンパンにやられる場面がいい。

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もう一本の「お竜参上」はシリーズ第6作。第3作「花札勝負」の後日談。ニセお竜の娘を探して辿りついた浅草六区で、興行権独占を企てる鮫洲一家との抗争を描く。

シリーズ最高傑作のひとつ。前半の凝った連続したショットは美学の追及の完成形を思わせる。また有名な「雪の今戸橋」のシーンは日本映画史上に残る美しさ。映画館のロビーに製作当時に使われたと思われる、本シーンのスケッチが展示されていた。名画座のこうした心遣いはうれしい。

途中、若山富三郎が唐突に登場してお竜の危機を救い、ひとりきり大暴れしてすぐに去っていくシーンがある。ストーリーにはまるで影響を与えないが、シリーズの一作品としてはアリなのだろう。本作の助太刀は菅原文太だが、ストーリー上、彼に仁義はあるのかと思うものの、さすがに男前だし藤純子とお恋愛シーンの相性もいい。作品としての完成度は高い。

緋牡丹博徒 お竜参上 [DVD]

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