退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

中村克『最後のパレード』

発売まもなくベストセラーランキングにも登場して、すごく売れた本らしい。その後、盗用疑惑により、販売停止、店頭在庫の回収という事態になった(出版社の見解)。Amazonでも取り扱いを中止して、エントリごと削除したようだ。そのため、いつものようにリンクを張ることができない。そこまでやる必要があるのか。

それでも読みたくなり、騒動後も貸し出しを続けている図書館で予約して借り出してきた。予約時、約80人待ちだったが、あれよあれよという具合に列が進み順番がきた。調べてみると、10冊ほど蔵書があるうえに、読みやすいので回転が速いのだろう。

ディズニーランドで本当にあった「泣ける話」を30篇あまり収録した本である。読んでみると、半分以上は、子どもを亡くした夫婦や、重い病気や障害を持つ子どもの家族の話である。ひとつひとつはいい話かもしれないが、まとめて読んだせいか、あまり感動できなかった。きっと、死や病気の話が重すぎて、辛すぎて、一気に通読するような読み方が適していないのだろう。

加えて、ディズニーランドに特別な思い入れもないので、キャラクターやアトラクションの名前を聞いても、ピンとこないということもあるかもしれない。それでも、落とした結婚指輪をダイバーが川の中から探し出す「お手元に届けます」などの軽妙なエピソードは楽しめた。