退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

愛と青春の宝塚

丸の内TOEI2で、「愛と青春の宝塚」を鑑賞する。昨年12月に新宿コマ劇場のファイナル公演として上演されたミュージカルの映像化。これはLivespireというブランドで展開する、舞台芸術やスポーツなどのエンタテインメントをデジタルシネマとして製作・配給するサービスにより、映像化された作品である。通常の舞台中継とどこが違うかというのも興味があったところ。

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舞台では主要4役がWキャストで公演されたので、映画でも「紫吹バージョン」と「湖月バージョン」の2種類のバージョンがある。るいるい(紫城るい)も観たかったけど、悩んだ末に「湖月わたる×貴城けいバージョン」を選ぶ。チケット窓口で「湖月さんバージョンですね」と確認される。心のなかでは「いえ、みろり(大鳥れい)バージョンです」と呟いたが、「そうです」と答えて入場する。

ストーリーは戦時中のタカラジェンヌの姿を描くというもので、はっきり言ってベタなものだが、全員宝塚歌劇団の卒業生である女性アンサンブルを得て、宝塚の魅力を十分に楽しめる仕上がりになっている。初々しさはないがロケットダンスはよかった。また、なんといっても三木たかしが担当した歌がすばらしいのは特筆できる。「スキヤキソング」最高! また、豪華なキャストの共演も往年のファンにたまらないかも。

さてLivespireはどうかいうと、舞台芸術を映像ソフトにして廉価で幅広い観客に配給するというサービスには大きな可能性を感じた。客席からでは決してありえないカメラアングルや、高画質での表情のアップなどは、映像ソフトならでは魅力である。映画館の音響装置を生かせるミュージカルは、こうした試みにとくに適しているかもしれない。

ただライブの観劇では、自分の好きな俳優を目で追ったり、舞台全体の雰囲気を楽しんだりする自由もあるわけで、押し付けの映像では伝えきれない要素も少なくないとも感じた。

鑑賞料金は、当日2500円という設定だが、上映期間中でも前売り券が買えたので実質2000円である。これが妥当かは、人それぞれだろうが、通常の封切映画より高いのはどうかとも思うが。まあ、こればかりは実際に観て判断してほしいとかいいようがない。今回はまずまず満足したとだけ言っておく。

幕間に休憩があったのは演劇らしさの演出だろうか。こうした企画で、廉価で数多くの演劇を楽しめるといいと思う。そこで鑑賞眼を養い、これぞいう演目では劇場に足を運ぶという楽しみ方もアリだろう。