退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『病院へ行こう』(1990)

銀座シネパトスのレイトショーで「病院へ行こう」(1990年, 滝田洋二郎)を観る。先般、「おくりびと」が、第81回米国アカデミー賞で外国語映画賞を受賞して一躍話題となった滝田監督の作品を振り返るという特集上映。

病院へ行こう [DVD]

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研修医役の薬師丸ひろ子もいいけど、やはり真田広之をフューチャした映画といえる。1990年という時代もよく出ている。

冒頭、真田が走行中のタクシーから無意味に身を乗り出す場面や、階段落ちのスタントはアクション俳優としての矜持が感じられる。大地康雄と二人での階段落ちでは、大地はすぐにスタントマンと入れ替わったのがわかるが、真田はノースタントなのは見事。また、やたらと鍛え抜いた裸体を披露していて、真田ファンにはたまらない作品かも。

本作は、入院生活を舞台にしたコメディで、よくできた脚本である。これまで特集で見てきたピンク映画との間に連続性が感じられるのは不思議だが、これが監督の個性というものだろうか。真田にはこうしたコミカルな役をもっと演じてほしいなとも思った。

ただ、ここで描かれている入院生活にどれだけリアリティがあるかわらないが、医療問題をコミカルに扱うことはやや気になる。医療関係者のなかには、映画の軽いタッチに抵抗を感じる人もいるのではないか。

個人的には、斉藤慶子(一応下着姿になっている)を、もっと見たかった。まあ、それでも夫の入院中に一度も顔ださないのはどうかと…。