『暁の脱走』(1950)
シネマート新宿で、「暁の脱走」(1950年、谷口千吉)を鑑賞。
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舞台は大戦末期の中国戦線。慰問団の歌手・春美(山口淑子)が三上上等兵(池部良)と恋に落ちるが、中国軍の攻撃を受け二人は捕虜になる。後に釈放される二人だが、「生きて虜囚の辱を受けず」というバカげた戦陣訓があった旧日本軍においては、三上は軍法会議にかけられることに…。
見どころは、春美に言い寄る将校役の小沢栄太郎(本作品では小沢栄)の徹底した悪役ぶりかな。嫌なヤツを演じると右に出るものがいない。ほかには李香蘭の過去を持つ山口の中国語はさすがに流暢だった。
真面目でウブな下級兵士の三上を堕落させるとは、春美は「毒婦」というか「魔性の女」だな。と思いながら調べると、池部良の方が山口淑子より少しだけ年上だったのは意外だった。
ラストで、軍上層部は、脱走兵の不祥事を隠蔽するために三上を病死として処理したことを暗示する証明書が映し出される。いまの<ゆとり>に、あれが読めるのだろうか。日本映画でも時代に応じて、テロップを入れる必要があるのかもしれない。
この映画は、鈴木清順が『春婦伝』(1965年、日活)のタイトルでリメークしているが、そちらも見てみたい。
<余談>
シネマート新宿ではこの映画を朝夜2回上映されていたが、朝の回は小さい方のスクリーンで<プロジェクタ上映>だったらしい。せっかくフィルムがあるのに、「何ということするんだ」「作品へのボートクだ」と思ったが、あの集客ではムリもないか。夜の回に出かけたが、335席のスクリーンなのに、観客は5人ぐらいしかいなかった…。それともフィルムの状態が悪かったため上映回数を制限したのか。しばらく新東宝特集が続くが、どちらのスクリーンで上映するかはチェックして出かけることを勧める。