目黒シネマで「アキレスと亀」(2008年、北野武)を観る。北野かあるいは自主制作でしか撮れないような激しい作品。いろいろな解釈ができる。
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主人公の真知寿(マチス)は画家になることしか眼中にない人生を歩み、様々なアートに挑むが作品はまったく評価されない。この映画では、こうした「才能のない男の悲劇」が描かれている。監督からの真のメッセージは「才能のないヤツは、早く夢をあきらめてまっとうに生きろ」とうことだろうか。
それとも、あれだけ仲たがいをして別れた妻が、結局は真知寿のもとに戻ってくるというシーンをラストにしたのは、本当に描きたかったのは「夫婦愛の尊さ」であろうか。だが、さすがにあれだけ仕打ちを受けた妻が戻ってくるというのは、あまりに安直ではとも思うが、監督の真意が知りたい。
冒頭の「ゼノンのパラドックス」も引っかかる。ラストでは「アキレスは亀に追いついた」とナレーションされるが、何の比喩なのか結局劇中では明らかにならないので、気になって仕方がない。
まあ私が見るところ、真知寿の人生は、麻生久美子と結婚できた時点で、すべてを超越して成功したと言えるではないかと思ったが。どうなのだろう。
とにかく北野節全開で2時間まったく飽きさせないのはさすがではある。