目黒シネマで「スカイ・クロラ」(2008年、押井守)を観る。公開時には、怒涛のプロモーション攻勢に怯んでか、結局観に行かなかったが、今回は他の上映作品との抱き合わせで、映画館に足を運ぶ。
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最初は状況設定がよくわからなかったが、次第に「無限連鎖による生命」という図式のなかで、戦争が企業間でショーとして行われていることが明らかになる。まあSFとしては凡庸で、ありきたりの設定であり、押井作品としてはわかりやすい部類の作品といえるだろう。
「キンドレ」という少年少女の人間ドラマがテーマだったのだろうが、全体が空々しく感じられ、いまひとつピンとこない。そうなると、見どころは、レシプロ戦闘機による「空中戦」である。
機体後部にプロペラ、機首付近に小翼を配した先尾翼型(エンテ型)の機体の造形がいいし、空中戦の映像技術もすばらしい。カメラのピントが微妙にずれるあたりなどはしびれた。さすがに期待を裏切らない仕上がりで満腹になった。音響についても、最新の劇場ではなかったものの十分に満足した。ああ、もっと空中戦を見せてほしかった。
とはいうものの、やはり空中戦には命を賭けているという緊迫感が欠けていたように思う。それは「キンドレ」なる装置を使っての戦争ゲームに過ぎないからかもしれない。