退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『劇場版 幼女戦記』(2019) / 転生モノのテレビアニメの続編

GWにアニメを見まくっていたなかで、アニメ映画『劇場版 幼女戦記』(2019年、監督:上村泰)がよかったの紹介する。原作はカルロ・ゼンによるライトノベルラノベ原作の転生モノということでしばらく敬遠していたが、テレビアニメが面白かったので劇場版も見てみた。

このアニメ映画は、2017年に放映されたテレビアニメ「幼女戦記」(全12話)の続編。スタッフや声優はテレビアニメから続投している。劇場版を見る前にテレビアニメを見ておかないと、さっぱりわからないので要注意。

現代日本のエリートサラリーマンの主人公が、リストラされた社員の逆恨みからホームに突き落とされて落命する。死後、「存在X」なる創造主から、これまでの合理的な生き方を咎められて、孤児の少女ターニャ・デグレチャフ(声:悠木碧)として別世界に転生させられる。

この別世界は、魔法が存在するものの20世紀初頭の欧州によく似た世界だった。主人公ターニャが生まれ育った「帝国」(ドイツ帝国ぽい)を取り巻く状況は緊迫しており、大戦に至るのは必定だった。ターニャは士官学校に進み、軍人としてキャリアを積むことになる。そこで順風満帆な安楽な人生を送ろうとすが、前線に送られてることになる……。


「劇場版 幼女戦記」本予告

まあこんな話だが、第一に転生する別世界が、第一次世界大戦第二次世界大戦が混ざったような状況の欧州というのが世界観が面白い。とかく転生モノだと、エフルやドワーフが登場するようなファンタジーな世界観の作品が多く、正直うんざりしていた。本作は、現世界の雰囲気をもった過去の世界が舞台なのがユニークだし、歴史好きにもウケるのではないか。

第二に、主人公が前世の記憶や知見をを活かしながら、軍隊で出世していくところも好きだ。他の転生モノだと、ヒキニートが転生後に活躍することも多いが、前世がヒキニートで何のキャリアも実績もなく、転生して活躍できるわけないだろ、といつも思っていたので、本作の設定はちょっといいなと思わせる。

さて劇場版に話を戻すと、まず作画はすばらしい。映画館で見ても十分に満足できるのではないか、とくにターニャとメアリー・スー(声:戸松遥)との空中戦はレベルが高く、見応えがある。他にはターニャが列車砲を攻撃するあたりも素晴らしい。

原作のストックはまだまだあるらしい。どういうラストになるかと思ったが、ターニャは麾下の戦力が増えて出世したものの、再び最前線に送られるというオチ。原作は読んでいないが、「帝国」にヒトラーのような独裁者が現れるのかを含めて、続編が気になるアニメである。

ひとつだけ苦言を言えば、タイトルの「幼女戦記」である。いい歳のおっさんが「『幼女戦記』一枚」とはなかな言えない。インパクトのあるタイトルだが、一般層へのアクセスをさまたげているように思う。

Chapter.1