退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『サイコ』(1960)

「サイコ」(1960年、アルフレッド・ヒッチコック)を、DVDで鑑賞。この作品は、ホラーの金字塔と呼ばれている。白黒映像で、音と心象で殺人シーンを構成する技量は当時としては大変なもの。古典として一見の価値はあるだろう。

サイコ [DVD]

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とはいうものの、あまりに有名なシャワーシーンは、多数の作品に引用されてさすがに陳腐化した印象はぬぐえない。またラストのオチも、最初観たときほどのインパクトはなかった。何も知らない状態で観られるといいのだろうが。

本作品で面白いと思ったのは、主人公の視点がないところである。最初、グラマーな横領女がヒロインかと思ってみていくと、途中であっさり殺されてしまうし、これを引き継ぐのかと思われた探偵もまた犠牲者になる。主人公が不在のため感情移入ができないという構成は、ある意味興味深い。