退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

橘木俊詔『女女格差』

流行の「格差本」ではあるが、軽佻浮薄なお気楽本とはちがい、学者が統計データに基づいて粛々と論を展開していく。文書も硬めで分量もそれなりにある。娯楽性は乏しい。

女性間の、結婚、職業、学歴、家族構成による格差について論じている。ま、事実を淡々と並べられて反論の余地も少ないし、実際に社会で感じられる内容と大きな隔たりは感じられない。ただ本書からは、いったい何が問題で、どうあるべきなのかという問題提起が弱いように感じた。

最後の方に、「美人と不美人」という章がある。それまで、一貫してデータに依拠していたのに、いきなり、容姿といった主観に依る要素が登場したのには意外であった。編集者の意向によるものか。結局、この章では説教じみた精神論に終始していて、ここだけトーンが違っていてかえって面白く読んだ。

「女女格差」というが、配偶者の階層に依存する部分が予想以上に大きいとも感じた。結局は、社会全体の問題として捉えるべき問題なのであろう。

女女格差

女女格差