流行の「格差本」ではあるが、軽佻浮薄なお気楽本とはちがい、学者が統計データに基づいて粛々と論を展開していく。文書も硬めで分量もそれなりにある。娯楽性は乏しい。
女性間の、結婚、職業、学歴、家族構成による格差について論じている。ま、事実を淡々と並べられて反論の余地も少ないし、実際に社会で感じられる内容と大きな隔たりは感じられない。ただ本書からは、いったい何が問題で、どうあるべきなのかという問題提起が弱いように感じた。
最後の方に、「美人と不美人」という章がある。それまで、一貫してデータに依拠していたのに、いきなり、容姿といった主観に依る要素が登場したのには意外であった。編集者の意向によるものか。結局、この章では説教じみた精神論に終始していて、ここだけトーンが違っていてかえって面白く読んだ。
「女女格差」というが、配偶者の階層に依存する部分が予想以上に大きいとも感じた。結局は、社会全体の問題として捉えるべき問題なのであろう。
- 作者: 橘木俊詔
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2008/06/13
- メディア: 単行本
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