退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『金環蝕』(1975) / 九頭竜川ダム落札事件を題材にした問題作

『金環蝕』(1975年,山本薩夫)を見る。『華麗なる一族』に続く、山本薩夫監督による社会派娯楽大作。

オールスターを配したキャラクターがみんな濃い。なかでも、市井で金融業を営む宇野重吉が白眉。周りの役者を食っていて、彼のベストか。ほかには西村晃の宴会芸も必見。

政治ドラマとしては、紋切型というか意外な演出というのは見られないが、70年代の雰囲気がよく出ていて興味深い。登場する政治家たちは、腹黒いながらも逞しくて、いざというときに頼りになりそうだ。これは高度成長期の日本に勢いがあったということもあろう。

それに引き換えいまの政治家ときたら世襲ばかりで線が細いし、国難に立ち向かえそうにはない。この映画を観て少しは勉強してものだ。

金環蝕 [DVD]

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