新文芸坐の《日本映画 匠の技Vol.4 白黒映画の美学 日本映画黄金時代に到達した、光と影の極みを堪能する11日間》という企画で映画『俺は待ってるぜ』(1957年)を鑑賞。蔵原惟繕の監督デビュー作。脚本は石原慎太郎。撮影は高村倉太郎。裕次郎が歌う同名主題歌もヒットした。
ケンカで人を殺した過去を持つ元ボクサーの主人公・島木(石原裕次郎)は、1年前にブラジルに渡った兄が迎えにくるのを待っていた。しかし兄は渡航前にいかさま賭博に引っかかり、港を縄張りにしてる暴力団に殺されていた。島木は復讐のために暴力団の事務所に乗り込み、ボス(二谷英二)と対決する。
ベタな日活アクションであまり好きなタイプの映画ではないし、蔵原惟人もデビュー作のためか教科書どおりの演出で面白味は乏しい。
ただし映像的には、波止場で逆光のなかの石原裕次郎と北原三枝のシルエットが美しいのは特筆できる。お見逃しなく。またラストの対決シーンでの明るさの異なる場所に次々に移動しながらの乱闘も見応えがある。今回の白黒映画特集で上映される価値のある作品とはいえる。
今回発見したのは、後に裕次郎と結婚するヒロインの北原三枝のアンニュイな魅力である。港で裕次郎と出会う冒頭シーンでのトレンチコートの着こなしが素晴らしい。小顔でスタイルがよくないと、こうはいかないだろう。
コートを脱いでもグラマラスでいまでも通用しそうである。某次官でなくとも「胸さわっていい?」と言いいそうになる。実際にこれを言ったらアウトだけどね。