退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

ゴーンの記者会見がエネルギッシュだった件

年末に保釈中に海外逃亡したカルロス・ゴーン被告がレバノンで記者会見を行い、その様子が世界中に配信された。私もAbemeTVで一部始終を見ていたので、思ったことを書き留めておきたい。


ゴーン被告が会見 無実主張と日本の司法批判展開(20/01/08)

まるで企業トップのプレゼンかと思った

第一印象はゴーンが思った以上に元気だったということ。まるで企業トップのプレゼンのように自信たっぷりだった。長い独演会のようだった。

英語、フランス語、アラビア語ポルトガル語を使いこなし、記者たちの質問に応対している姿は語学好きとしてはカッコいいな感じられた。AbemaTVではポルトガル語の同時通訳が用意されず、その場面だけ通訳なしとなったのもちょっとおもしろかった。

ただし長年にわたり日本で活躍していたのに、なぜ日本語は覚えたかったのかという疑問はある。流暢な日本語で語りかければまた印象も違っていただろう。

内容については、「日本の刑事司法の後進性への不満」「クーデターで嵌められたとう日産批判」が主だったが、とくに目新しいネタはなく肩透かしを食らわせれた。またスパイ映画のような逃亡劇の詳細については、協力者に迷惑がかかるということだろうかノーコメントだった。みんなが知りたかった話題だけに残念だったが、これは仕方ないのだろう。

日本のメディアはほとんど出席できず

冒頭で「記者会見」と書いたが、厳密に言えばお気に入りのメディアしか会場に入れなかったのだから、「記者懇談会」というべきかもしれない。

検察からのリークを唯々諾々と報道した日本メディアへの不信感が強いと思われる。ほとんど日本のメディアは出席できなかった。当然、御用メディアのNHKはゴーンの立場からは論外ということだろう。

会見で質問して日本のメディアは、テレビ東京小学館だった。テレビ東京は番組「ワールドビジネスサテライト」の関係だろうか。そして小学館はコミック「カルロス・ゴーン物語」からのコネクションだろうか。日本代表のメディアがテレ東というのはちょっと面白い画だった。

alltag.hatenablog.jp

今後のゴーンはどうなるのか

保釈中に海外逃亡という明らかな違法行為により指名手配されている立場上、もう表舞台で会社経営者として辣腕を振うことはできない。ゴーンは今後どうするつもりだろうか。

記者からの質問に、「東京の小さな監獄(cell)から、レバノンの大きな監獄に移っただけではないか」というものがあった。レバノン国外に出ることが難しく、本当の自由とはほど遠いということだが、上手いこと言うなと思った。これまで世界を自由に往来して快楽を享受していたゴーンにとってはつらい日々が続くことになりそうだ。

おわりに

映画などのフィクションであれば、このような主人公は悲惨な末路をたどることが多い。ヒットマンに「ズドン」とやられたり、加護していたレバノン政府で政権交代が起こり訴追されたりする。

ゴーンは自らの立場を主張するために、自伝や映画を制作するという話も聞こえてくる。日産を再建して巨大自動車グループのトップに上り詰めて我が世の春を謳歌した後、刑事事件の被告となり拘置所の勾留されるというジェットコースターの人生。

それだけで映画の素材としては十分だ。スノーデンのような映画になるのだろうか。いささか気が早い気もするが、映画が公開されたら是非見てみたい。

カリスマ失墜  ゴーン帝国の20年