退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

渦中の人の半生を描いたコミック『カルロス・ゴーン物語』を読んでみた

すっかり渦中の人となったカルロス・ゴーンの半生を描いた漫画があると聞いて手に取ってみた。小学館の青年コミック誌ビッグコミックススペリオール」に連載され、2002年に単行本が刊行された。ハードカバーの立派な装丁だ。

ざっくり言うと日産自動車の再建を目指す辣腕経営者を称賛する内容で、ゴーンの力強いリーダー像が前面に打ち出されている。波乱万丈の人生が漫画的に演出されていて、漫画としてもまずまず面白い。

レバノンからブラジルに移民する祖父のエピソードから始まり、猛勉強してレバノンからパリに渡り、その後グランゼコールに進学して青春を謳歌する。卒業後、ミシュランに入社してビジネスパーソンとしてキャリアにを始める。そうしたゴーンの生い立ちを紹介するのと並行して、日産でのエピソードが同時進行するという構成になっている。

この本では「日産リバイバルプラン」は進行中で道半ばであるが、その後、日産自動車は見事に復活を果たし、カリスマ経営者として注目を集めるのは周知のとおりである。

この本が上梓されてから16年。ゴーンは逮捕され、現在東京拘置所に勾留中である。本人は甚だ不本意であろうが、今回の失脚により伝記物語しては俄然面白くなった。後世きっと映画化されることだろう。

この本の巻頭にゴーンの写真が数枚載っている。そのなかにレバノンの教会での聖体拝領式の集合写真があった。いまもクリスチャンなのかわからないが、大事な日であろうクリスマスを檻の中で過ごすことになった彼の心境はいかばかりであろうか。まさに人生波乱万丈である。

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