退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『この子の七つのお祝いに』(1982) / 増村保造監督の事実上の遺作

DVDで映画『この子の七つのお祝いに』(1982年、監督:増村保造)を鑑賞。原作は「第一回横溝正史賞」を受賞した斎藤澪の同名小説。主演は岩下志麻大映映画で活躍した増村保造による最後の監督作品。角川映画

ジャーナリストの母田(杉浦直樹)は政界を影で操る謎の占い師「青蛾(せいが)」の取材に精力的に取り組んでいた。青蛾の正体を知るという元・家政婦(畑中葉子)と接触を試みるが、アポの前日に元・家政婦は惨殺される。病魔に蝕まれてる母田は、彼女は口封じのために殺されたのではと訝しがるが、その母田の前に美しいスナックのママ(岩下志麻)が現れる……。


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大映時代の増村保造のクセのある演出を期待するも、火曜サスペンス劇場かなという印象の映画だった。増村保造の作品というより角川映画を撮る雇われた監督だったのだろうか。

それでも当時の名優たちが顔を揃えているのは見どころ。私の好きな杉浦直樹名古屋章岸田今日子たちのハイテンションな演技は見応えがある。きわめつけは岩下志麻(当時40歳ぐらい)のセーラー服姿はインパクト大。もちろん時間を遡って過去の出来事を描く場面なのだが、本人でなくてもいいじゃねと思ってしまう。ホラー感すら感じさせる。

この映画つくる意味あったのかなと思わせる映画で、豪華なスタッフとキャストを集めてもダメなものはダメという映画。これが増村保造の遺作と思うと、ちょっと寂しい気がする。