退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『ソラニン』(2010) / 宮崎あおいと高良健吾のダブル主演の青春恋愛バンド映画

昨年末、町田で浅野いにおの展覧会を見てきたので、目についた映画『ソラニン』(2010年、監督:三木孝浩)を鑑賞する。浅野いにおの同盟漫画が原作、宮崎あおい高良健吾のダブル主演。三木孝浩監督の長編初監督作品。

学生時代バンドをやっていた種田(高良健吾)とファンだった芽衣子(宮崎あおい)は、大学卒業数年後、同棲していた。フツーのOLをやっていた井上は部長から食事に誘われて嫌になり、勢いで会社を辞めてしまう。ある日、芽衣子は種田に「バンドをやってほしい」と自分の思いをぶつける。その一言から種田はバイトをやめてバンド活動を始めるが……。

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どうしようもなく青臭い青春映画にはちがいないが、どことなく惹かれる映画ではある。原作がよく練られているからかもしれないが、脚本がベタだがまっすぐでよくできている。途中から話の展開が見えてしまうのは愛嬌か。

バンドものなので、劇中の音楽がダメだと話にならないが、そのあたりはしっかりしていて安心して見ることができる。登場人物たちの音楽に向かう姿勢が真摯なのも共感でかいる。またラストで宮崎あおい絶唱するのは想定内だが、このシーンですべて回収してしまうインパクトはさすがというべきか。

個人的には、種田の死後、種田の父親(財津和夫)が種田の荷物を取りに芽衣子の家にやってくるシーンが印象に残った。ギターを残してくれて懇願する芽衣子が物語の転換点になるところがいい。

若者と音楽というテーマには普遍性があり、現代風に焼き直してリメイクしても十分にイケるではないかと思った。青春映画の良作。