DVDで映画『砂糖菓子が壊れるとき』(1967年、監督:今井正)を鑑賞。マリリン・モンローをモデルにした曽野綾子の同名小説が原作。主演は若尾文子。
美しく豊かな身体と愛すべき個性を武器にスターの座を獲得した女優の数々の男性遍歴と破綻を描く。監督は今井正、脚本は橋田壽賀子ということで期待は大きかったが、コレジャナイ感が残念だった。
原作はマリリン・モンローの半生を日本を舞台に翻案したような話らしい、そもそも若尾文子が肉体派女優という時点でミスキャストだし、主人公には若尾の持ち味である情念のようなものも感じらられない。若尾のグラマラスなヌード写真(もちろんコラージュ)や白いドレスなど、マリリン・モンローを思わせる小道具も痛々しい。
そもそも今井正監督はこうした映画に向かないと思うし、どうしてこんな企画が通ったのか不思議な映画ではある。
ラストにマリリン・モンローと同じく主人公が事故とも自殺ともわからない死因で亡くなり、遺体が救急車で搬出されるシーンがある。すでに息を引き取っているとはいえ、その場面の若尾文子はちょっといいなと思った。凡庸な出来ではあるが若尾ファンなら少しは楽しめるかもしれない。