DVDでアニメ映画『SING/シング』(2016年、監督・脚本:ガース・ジェニングス)を鑑賞。擬人化された動物たちが住む世界を舞台にしたアニメーション・ミュージカル・コメディ映画。
動物たちが暮らす街。コアラのバスター・ムーンが営む劇場は資金難で廃業寸前。起死回生を図ったムーンは歌のオーディションを企画するが、手違いで賞金額がとんでもなく高額になる。街中からたくさんの動物が集まり、オーディションが開催されるが……。
この映画は、ストーリーはどうということはない。ミュージカル映画なので当然だが「歌の映画」である。ジャズのスタンダードナンバーからビートルズ、スティービーワンダーと幅広い選曲が素晴らしい。アメリカ万歳。
ふだん実写のミュージカル映画をみるときは、オリジナルの俳優の歌唱を堪能したいので字幕版を選択するが、今回はアニメーションなのでどちらを選ぶべきか悩む。もちとんマシュー・マコノヒーやリーズ・ウィザースプーンなどの名優たちの歌唱は素晴らしいが、日本人ならば吹替版も悪くない。むしろ吹替版のほうがいいかも。
吹替版の出演者を事前にチェックしておくとより楽しめるだろう。ゾウの少女・ミーナを演じたMISIAは途中まで芝居どうなのと思っていたが、歌い出すとさすがだった。
すべての楽曲が日本語化されていないのは残念だが、吹替版でも十分に楽しめる稀有な映画。
ただし音楽については吹替版もよくできているが、各所に散りばめられているアメリカン・ジョークのニュアンスはなかなか伝わらないかもしれない。こればかりはどうしようもない。
またアニメーションについて言えば、ここまでコンピューター・アニメーションがモノの質感を描き出すことができることに驚いた。動物たちキャラクターの造形もすごいが、洪水の水の質感など行き着くとこまで行ったなと感心する。予算さえあればなんでもできることを再認識させられる。日本の深夜アニメのチープな世界に浸っている場合ではないようだ。