YouTubeの「TOEI Xstream theater」チャンネルで無料配信されていた、映画『きんぴら』(1990年、監督:一倉治雄)を鑑賞。主演は大竹しのぶ。全然エクストリームじゃない。
金曜日の夜に電波ジャックしてテレビに海賊CMを流す謎のグループ「金曜日のぴらにあ」(通称・きんびら)が現れた。海賊CMを流して儲けているヤクザの娘(大竹しのぶ)と、グループの逮捕を目指す違法電波取締官(仲村トオル)との奇妙な関係を描く。
何を考えて撮ったのかわからない変な映画。雑すぎてもうね……。リアリティはゼロ。コメディなのだろうが、あまり笑えないのが致命的。いつもいいところで、ドヴォルザーク「新世界」のメロディーが流れるのも意味がわからない。
とにかく脚本がデタラメすぎる。デタラメでもそのまま突き抜けていれば、それはまた別の境地に達するのだろうが、そうしたこともなく驚くほどつまらない。
主演の大竹しのぶは「ギャラ分だけきっちりやります」と思ったのか、さすがに演技は上手いが明らかにミスキャストだろう。
当初、ヤクザの娘役には浅野温子が想定されていたが、脚本に難色を示してオファーを断り、お鉢が大竹しのぶに回ってきたという噂を聞いたことがある。そう思って見ると、脚本には浅野温子に当て書きしたと思われるシーンも見受けられる。浅野温子と仲村トオルとコンビと言えば、「あぶない刑事」シリーズが思い浮かぶ。そのテイストをそのまま狙ったのかもしれないが、ことの真偽は不明。
他の出演者では、Winkの鈴木早智子が演技は別にして時代性を感じたし、中村あずさが電波取締官としてちょっとだけ出ていたのも懐かしい。他の出演者は結構豪華。いろいろとカネはかかっている映画ではある。
こういう雑な映画でもおカネが集まったのはいい時代だったなあ、としみじみ思った次第。