退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

朝ドラ「おちょやん」見終わりました

朝ドラ「おちょやん」は、2020年度後期放送のNHK連続テレビ小説」第103作。大阪放送局の製作。本来なら放送期間は昨年末までのはずが、新型コロナの影響でスケジュールが押して最終回は5月14日に放送された。

松竹新喜劇で活躍した上方女優・浪花千栄子をモデルにして、戦前から戦後の大阪で貧しく生まれた少女が女優を目指す生涯を人情味たっぷりで描く。脚本は八津弘幸、主演は杉咲花

いつものことだが大阪放送局製作の朝ドラはどうもピンとこない。道頓堀がどうのこうのとか言われても「うーん、それどこなの?」となってしまう。朝から関西弁がうるさく感じるのも難点だろう。方言なので味があると感じる人もいるかもしれないが、私はどうも苦手だ。

さてドラマとしてどうかと問われれば、杉咲花の演技は及第点だったし、総じて無難な出来だったと思うが、以下の3点には苦言を呈したい。

第一に主人公・お千代(杉咲花)の年齢が不詳なこと。杉咲が童顔ということもあるが、時代が進んでもほとんど老けない。主人公は、いま千代は何歳なんだろうと何度思ったことだろう。とくに旦那・天海一平(成田凌)の浮気が原因で離婚するのが後半の一大イベントだったが、それがイマイチ面白くない。

若い劇団員・灯子が一平を寝取るわけだが、ここは灯子と千代の年齢差を強調してほしかった。実年齢でも3歳ぐらいしか変わらないが演出でなんとかしてほしかった。また一平がおとなしく灯子と家庭を営むのもちょっとつまらない。もっと女性関係に緩く、「女遊びは芸の肥やしや!」ぐらい言ってほしかった。

(100)「何でうちやあれへんの」

第二は戦争の扱いが軽すぎること。まあ朝ドラだから反戦を高らかに謳い上げられても重くても見てられないが、本作はあまりにも軽い。主人公が大阪大空襲のときに京都にいたとうのもご都合主義だった。もっと戦時中の検閲をリアルに描くなどして、当時の大衆芸能の姿を浮き彫りにしてほしかった。

(88)「うちの原点だす」

第三は映画女優としての浪花千栄子が全く描けていないこと。浪花千栄子は、50年代から60年代にかけて日本映画の黄金期に多数の映画に出演して、渋い演技を披露している。日本映画ファンとしては、その撮影シーンを楽しみにしていたのだが完全にカット。√『女系家族』のセットを再現するぐらいのことはしてほしかった。がっかりだ。

浪花千栄子 昭和日本を笑顔にしたナニワのおかあちゃん大女優 (角川文庫)

個人的には、映美くららをテレビで見れたのはうれしかった。ヅカ的にね!

いずれにせよ大阪放送局製作の朝ドラはハズレが多い。もう東京だけでいいじゃね、と思ってしまう。

連続テレビ小説 おちょやん Part2 (2) (NHKドラマ・ガイド)