大和和紀の画業50周年の一環として二部作で制作された、アニメ「劇場版 はいからさんが通る」を見ました。それぞれのタイトルは以下のとおり。
- 劇場版 はいからさんが通る 前編 〜紅緒、花の17歳〜(2017年、監督:古橋一浩)
- 劇場版 はいからさんが通る 後編 〜花の東京大ロマン〜(2018年、監督:城所聖明)
原作はもちろん大和和紀が70年代に「週刊少女フレンド」に連載していて少女漫画。大和の代表作であり、何度も映像化されている。もはや少女漫画の古典と言ってもいい作品である。
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原作は1978年から1979年にかけてテレビアニメ化(全42話)されているが、番組打ち切りのため最後まで描かれなかった。これについて原作者は大いに不満だったという話も聞く。そのリベンジともいうべき本作は当然、ラストまで描かれている。
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キャラデザはさすがに当時の少女漫画の絵柄ではなく現代風にアレンジされている。個人的はコレジャナイ感もあるが、若い人が見る作品としては妥当なところだろう。主人公の花村紅緒の声は「さおりん」こと早見沙織が演じている。
『劇場版 はいからさんが通る 前編 ~紅緒、花の17歳~』予告編
『劇場版 はいからさんが通る 後編 ~花の東京大ロマン~』予告
前編はかなりいい。女学生時代の紅緒が生き生きかつコミカルに描かれていて楽しい。一方、後編は失速しているように思われる。伊集院が行方不明になってから物語が暗転するばかりでなく、人間関係や恋模様も複雑に入り乱れる。これをこの短い尺に収めるのは難しいのだろう。今回、前編と後編で別の人が監督を務めていたことを知った。ちなみに脚本は前編・後編とも古橋一浩が書いている。
後編がちょっと残念に思ったのも監督の力量の差だとも言えるが、後編の方がずっと演出が難しいだろうことを思うと仕方ないのかなとも思う。ただ原作ファンとしてはいろいろと不満が募るアニメ化だった。劇場版ではなくテレビアニメで2クールぐらいでじっくり描いてほしかった。
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余談だが、この「はいからさんが通る」は、1987年に当時のトップアイドル南野陽子主演で実写映画化されている。映画の醍醐味を云々する作品ではないが、アイドル映画としては十分成功している。まあ伊集院を若手モデルだった阿部寛が演じているのは噴飯ものだったが……。
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さらに、2017年に宝塚歌劇団花組で舞台化されている。さすがに、こちらは金髪の伊集院のルックスが再現されている。2020年春、花組新トップコンビ柚香光・華優希の大劇場お披露目公演として再演予定である。
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70年代の少女漫画が今日においてなお脚光を浴びているの珍しい。